英ポンド/円相場は、132円台中盤までじり高の展開になっている。英景気の減速懸念は根強いが、足元では一部経済指標が改善傾向を見せたことが好感され、地合を引き締めている。また、ギリシャ債務問題の進展期待を背景にユーロ/円相場が4月下旬以来の高値を更新していることも支援材料。ポンドに対しても買い圧力が強くなっている。
11月29日に発表された10月英住宅ローン承認件数は5万2,982件となり、市場予測5万1,500件を上回った。1月以来で最高となっており、イングランド銀行(英中央銀行)の信用緩和策が住宅ローン利用を拡大させている流れが確認できる。また、11月の消費者信頼感指数は前月のマイナス30からマイナス22まで上昇しており、2011年5月以来の高水準に達している。また、3日発表の11月製造業PMIも、前月の47.5から49.1まで改善している。これが英景気の回復トレンド入りを意味するのかは懐疑的な向きが多いが、英景気が少なくとも小康状態を迎えていることが、ポンド相場もサポートしている。
12月5~6日開催の金融政策決定委員会では、特に金融政策の変更は行われない見通し。12月7日の鉱工業生産なども比較的良好な数値が予測されている。ただ、2日にオズボーン財務相が財政緊縮策の期限を1年延長する可能性を示唆するなど、金融危機からの回復に従来想定されていた以上の時間が必要であることが明らかになる中、早ければ1月にも追加緩和策が導入される流れに変化は無いだろう。同相は5日、2013年の成長見通しを従来の+2.0%から+1.2%まで大きく下方修正していることも確認しておきたい。このため、ポンドサイドの要因から本格的にポンド高・円安トレンドを形成するシナリオを描くのは引き続き難しい。もっとも、当面の円安基調が確立される中、短期スパンでポンドの押し目買いスタンスで対処せざるを得ない。11~12日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での緩和姿勢強化を後追いする形で、19~20日の日銀金融政策決定会合で追加緩和策が導入される可能性も否定できない。
今後1週間の予想レンジは、130.75~133.50円。